HDR環境を構築したので、ポイントを解説します。

Windows10でHDRする難しさ

HDR対応ディスプレイやTVが増えていますが、多くのレビュー記事ではPS4での検証しか済ませていないものが多い気がします。 Windows10では様々な条件を満たさなくてはいけないせいで、多くのレビューはそこまですることを諦めてしまっているようです。

しかしTVではなくディスプレイを買う以上、多くのユーザーはPCでHDR映像を見ようと思っているはずです。ここではWindows10でどのようにHDR映像を表示するかを解説します。

動作を確認した環境

  • Geforce GTX1660
  • EW-3270U (31.5型4K HDRディスプレイ)
  • DisplayPort1.4 ケーブル
  • Windows10 1903
  • Nvidia Driver 431.60
  • Google Chrome 76
  • Netflixアプリ 6.93.478

HDRを使用するためには、多くの場合Intelの内蔵GPUかNvidiaのビデオカードが必要です。 私の場合には、GeforceのGPUを使いました。

HDRのコンテンツの再生には、Youtube(Google Chrome)とNetflix(ストアアプリ版)を使いました。ゲーマーではないのでゲームでの確認はしていません。 Blu-ray UHDでも4K/HDR映像が楽しめますが、最新のCPUが必要なので私の環境ではテスト出来ませんでした。

ポイント1: ハードウェアを揃える

とにかく、対応ハードが必要です。ディスプレイはもちろんのこと、GPU・ケーブルもしっかり揃えましょう。対応環境は利用したいソースに応じて変わります。

最も簡単に用意できるのはYoutubeで、CPUかGPUを対応機種にすればOKです。ゲームも条件は変わりませんが、相応のレンダリング性能が必要になるので10万円以上のものが必須と思われます。Ultra HDブルーレイの再生には、最新のCPUが必要という点が特殊です。

サービス 備考 リンク
Youtube おそらく最も整備しやすいHDR 公式ヘルプ
Netflix Youtubeとほぼ同様だが、マルチディスプレイで要注意 公式ヘルプ
アサシンクリード Origins 条件としては上と変わらないが、4K/HDRには相応のGPUが必須 公式QA
PowerDVD UHD CPU条件が最も厳しい 公式ツール

ポイント2:ソフトウェアを整備する

OSは最新ビルドのWindows10を用意しましょう。設定画面からHDRを有効にします。 「HDRのゲームとアプリを使用する」をONにしましょう。 このトグルスイッチが表示されない場合、HDRに対応出来ていません。

ちなみに詳細設定は「Windows HD Color 設定」から行えます。私のディスプレイは「HDRビデオのストリーミング」という部分がONに出来ませんが、特に問題なく使えています。

古いWindows10だと、SDRアプリの色が薄くなるという問題がありました。この問題は解決しているようです。誤ったHDR対応をしたアプリ(VS Code 1.36など)は表示が変になるので注意しましょう。

ポイント3:HDCP2.2に留意する

HDCPは著作権保護された映像をセキュアに出力するための規格です。 HDR対応したディスプレイは最新のHDCP2.2に対応していますが、古いディスプレイはHDCP1.4などにしか対応出来ていません。

マルチディスプレイ環境の場合、HDCP1.4のディスプレイがあるとHDRコンテンツが再生出来ない可能性があるので注意しましょう。Google Chromeは大丈夫でしたが、Netflixはダメでした。

実際に鑑賞しよう!

Youtube

HDRが再生出来る場合、HDRアイコンが表示されます。 分かりやすいものとしては、こちらの動画がお勧めです。

ちなみに、こちらのHDR動画はHDRに出来ませんでした。 HDRには二種類のガンマカーブ(PQ, HLG)というものがあるそうです。PCディスプレイの場合はPQのみの対応が多いようです。HLGは互換性を重視したテレビ放送向けだそうです。 Youtube上でHDR再生できないものは、おそらくこの辺りが原因です。

Netflix

Netflixは必要な動作環境をしっかり提示してくれているので、その通りに用意すれば問題ないはずです。 HDR対応の動画では「ULTRA HD 4K」などと表示されます。

私は当初HDCP1.4ディスプレイ混在のマルチディスプレイだったのですが、この状態だと上のロゴは表示されずにHDでした。 ご注意下さい。

本当にHDRなのか???

Youtubeのサンプル動画はかなり鮮やかなので分かりやすいですが、Netflixなどでは本当にHDRなのか心配になります。 その時に役立つ2つの方法を書いておきます。

  • Ctrl+Shift+Alt+D
  • Xperia XZ2などで同じ動画を再生

Netflixで一つ目のショートカットを実行すると、解像度などが表示されます。少なくとも4Kであることは分かるはずですし、ビットレート(16Mbps)からHDR動画であることが予想できます。

HDR対応スマホとの比較も役立ちます。ただし、Xperia XZ2 Compactで見るNetflixのUHD動画は鮮やかに表示される印象でした。あまり主観に頼っても良くないですね。 むしろ薄暗い映像が分かりやすくなるのがHDRなので、その辺りを実感できると良いですね。

まとめ

HDRをWindows10で見るのは難しいですが、Netflixが比較的分かりやすく条件を提示してくれているので、それを目標に環境を整備してみてはいかがでしょうか。 実際のHDRコンテンツは鮮やかさよりも薄暗いシーンに強いわけなので、なかなか実感は難しいかもしれません。それでも、ダイナミックなコントラストの映像美には圧巻です。