色々な言説が溢れていて困ったので、HDRに対応しているかどうかの議論をまとめました。

HDRとは

そもそもHDRとは何なのでしょう。このページに辿り着いたあなたは、輝度が重要ということは知っているかもしれません。 色域や出力ビット数について気にしている人もいるようです。

端的に言うと、より明るいディスプレイを取り扱うための規格です。 今日の一般的なディスプレイは、せいぜい250cd/m2程度の明るさが出せる程度だそうです。一方、HDR映像制作の統一規格HDR10では1000cd/m2が想定されています。 HDR10対応のディスプレイにそのままこれまでの信号を入力すると、明るい色はでるかもしれませんが、暗めのディスプレイで表現出来ていた微妙な色合いが表現出来なくなってしまいます。 それに対応するために現れたのが、各種HDR規格であり、HDR対応製品なのです。

こみ上げる疑問たち

HDR信号を出力するには最新のインターフェースが必要?

必要です。HDRは輝度の幅広さから、これまでの各色8bit出力の信号では表現力が足りません。 DisplayHDR規格では、信号は10bit以上であるべし、とされています。

Displayportの場合、2K出力ならば多くの場合問題ありません。4K60Hzで出力するなら、DP1.2以上への対応が必須です。4K144Hzで出力するなら、DP1.4以上が必須です。 ただしHDRは色空間が違ってくるので、単に10bitあるだけでは足りません。実際にはDP1.4が必要です。

Quadroは10bit出力できるからHDR対応?

Quadroは古くからデザイナー向けに用いられてきていて、10bit出力に対応しています。Photoshopなどで画像を除くと、階調表現に優れるそうです。Geforceの10bit出力は限定されており、DirectXを用いた描画でしか使えません。

とにかく、Geforceは10bit限定サポート、Quadroはフルサポート。sRGBの8bitよりは進化していて、実際のところDisplayHDR規格は10bit以上での出力で認証をもらえます。じゃあ、どんなグラボでもHDRはOKなのでは・・・?

違います。GeforceならばGTX10xx (訂正)GTX9xx世代からしかHDRは扱えません。 そもそもHDRに10bit出力が必須なだけで、10bit出力は必ずしもHDR対応ではないのです。 古くからあるsRGBは等間隔に輝度を割り当てられていましたが、HDR10ではそういうことはありません。図を描くと曲線になるように色の割り当てが行われているので、それに対応しないといけないのです。

10bitかつHDR特有の色空間などを扱うためには、HDMI2.0/DP1.4が必要となり、結果的にGTX9xx世代が必要となるのです。

1000cd/m2ほど明るくないディスプレイなのにHDR認証されているのはなぜ?

要は、HDR10特有の色表現に対応していればOKなのです。

古くから存在するsRGBの想定輝度が80cd/m2だった事を考えると、基準となる輝度と実際のディスプレイの輝度というものは、どうでも良いみたいです。みんなが1,000cd/m2のディスプレイを用意するなんて現実的じゃないですしね。

結局のところ、このグラボは対応しているのだろうか?

HDR対応のディスプレイに接続しているのに、Windows10の設定画面でHDRに設定できなければ、おそらく対応していません。HDR対応直後には形だけ設定できていたりしたのですが、誤りだったようです。

HDRディスプレイがないけれど気になる、という場合には、マイクロソフトのヘルプページに良くまとまっています。 この手順を踏んでNGならば対応していません。

ちなみにNvidiaのコントロールパネルからもHDR関連の設定が行えるようです。私のマシンの場合、どう頑張っても”HDR(64bit)“が選択できないので、やはり対応していないのでしょう。

まとめ

  • Geforceなら9xx世代以上がHDR対応
  • DP1.4/HDMI2.0対応が必要
  • HDRは輝度だけでなく、各色10bit表現が大事。ただし10bitだからHDRではない
  • 民生品では、輝度は実は重視されていない。400cd/m2程度でもDisplayHDR認証はもらえる

自分なりに調べた事をまとめました。EW-3270というHDR対応ディスプレイを購入したのがきっかけですが、グラボは古いのでHDRでは使えていません。使ってみたいですね。