Androidにもセキュリティソフトが必要な理由
Androidにセキュリティ対策ソフトが必要ない、という言説の誤りを解説します。
Android向けにウイルス対策ソフトが販売されています。「そもそもウイルス対策ソフトがウイルスだった」みたいなトラブルは良くあることなので気にしたら負けですが、シマンテックやカスペルスキーなどからも対策ソフトは販売されています。
主張その1:絶対にいらない。
さて、Android用対策ソフトについて検索すると必ず出てくるニュースに以下のようなものがあります。
Androidにはウイルス対策ソフトは必要ない。
ウイルス対策なんて言っているのは全部詐欺だ!
まあ、なかの人がそういうのなら、そういうものなのかな。
でも、本当?
主張その2:なんだかんだ必要。だってウイルスあるんだもん。
さて、商売の邪魔をされて黙っているバカはいません。各ベンダーはこぞってブログに以下のような記事を投稿します。
知っていますか?Androidのウイルスの脅威は日に日に増しています。
当社の対策ソフトを購入してあなたの社会的信頼を守りましょう
たしかに、Androidのウイルスの話題はよく聞くし、このあいだも友達がFBに変な投稿してました。やっぱり必要なのでは?
この議論の問題点:「ウイルス」とは何か
主張その1の「ウイルス」は、ウイルスではない・・・
多くの人が指摘していますが、1つ目の主張で言うところの「ウイルス」は、Androidには存在しないか、あったとしても悪さができません。
Androidはアプリをインストールして使うように設計されています。各アプリはサンドボックスと呼ばれる保護機構によって、他のアプリとは高度に切り離された状態にあります。もしウイルスが悪さをしようとしても、このサンドボックスによって目論見は阻止されるのです!
ん??なんかおかしい・・・
気付きましたか?そう、彼らのいうウイルスとはマルウェアなのです。Windowsで悪さを働くマルウェアは、Androidではうまく動きません。
Androidで俗に言う「マルウェア」は、身から出たサビ
さて、マルウェアはAndroidでは動作しないことはお話しました。しかし、例外があります。それは「マルウェアの活動をユーザ自身が許可した場合」です。 多くの人はアプリをインストールする際にアプリの要求権限を深く吟味しません。不注意によって、悪意のあるアプリをユーザーが自発的にインストールしてしまうことがあるのです。
販売されているウイルス対策ソフトは、ユーザによる自発的なアプリのインストールも監視していて、あまりに怪しいアプリをインストールしようとしていれば警告を発してくれます。ベンダーによっては、インストール数の多いアプリを独自に解析して、危険なアプリをインストールしないよう啓蒙しているところもあります。
権限の確認はいちいち面倒ですし、権限を確認したとしても意図しない動作をされてしまうことは考えられます。そういった観点から、ウイルス対策ソフトは有効です。
ウイルスにはどう対処するのか
さて、最も深刻なのは「サンドボックスの脆弱性を突かれる」ことです。これこそがウイルスです。 ウイルス対策ソフトはウイルスを駆除することができるのでしょうか。
できません。(おそらく)
ウイルスを駆除するには、OSの奥深くの領域まで検査する必要が有ります。しかしウイルス対策ソフトもアプリの1つ。サンドボックスによって行動が制限されています。ウイルス対策ソフトがサンドボックスの脆弱性を突く以外、ウイルスを駆除する手立てはないのです。 もしそんなウイルス対策ソフトがあったとして、それはもうウイルスです。
重大な脆弱性が発見された場合、その脆弱性を塞ぐアップデートを適用するしかないのです。
ウイルスに感染しないために
脆弱性を突かれてしまっては、もうどうしようもないのですが、なるべくやられないようにするポイントがあります。 以下に挙げます。
- アップデートが頻繁に行われる機種を使う。
- 不要なアプリはインストールしない。
- 標準アプリでも、使っていないものは無効化する
みなさん、くれぐれもウイルスとマルウェアには注意しましょう。